【テレキャスター】謎ばかりのリアピックアップ

投稿者: | 2022年1月31日

エレキギターの代表のひとつとして、長きにわたり愛されたテレキャスター。
何食わぬ存在感で楽器店に並んでいるので今更疑問を持たないですが、よくよく考えたら「なんで?」の連続。

僕の疑問でもっとも大きなのは、リアピックアップがどうして金属のプレートにマウントされたか、でした。

レオ・フェンダー氏に直接聞くことが出来ないので、もう正解を導くことはできないロマンの世界ですが必死に検証していきたいと思います。

ブリッジプレート

外観からして特徴的なリア周りの金属製ブリッジプレート
ピックアップが弦振動の他にこの金属の振動をも取り込むがために、一般的にはテレキャスのジャキジャキ感はこのプレートが作り出しているとされています。
僕は初めてテレキャスをみたとき「このプレートいらんやろ邪魔やし」と素直に思いました。(今は好きです)
なぜこのプレートが付くことになったのでしょうか。

サウンドを狙った説

前述した、テレキャス独自のジャキっとしたサウンド特性を狙った説ですが、これは結構疑わしいです。
エレキギターは発売当初からアンプに繋いで音量を稼ぐエレキ楽器構想で作られていましたが、当時はオーディオ機器に毛が生えたようなアンプも多く、VOXやFenderが本格的なギターアンプをリリースするのは、ギター発売の少しあと。
アンプの性格によって音が極端に変質する可能性があったので「こういう音が特長のギターやねん!」と言う風には売り出せないはずです。

デザイン説

金属プレート?!そんなん見た目に決まっとるだろぁぁ!と吠えないでください。
実はテレキャス発売当初にはすでにリゾネーターギターが存在していたのですが、このデザインを引き継いだっぽい感じもあります。
しかしリゾネーターがアコギの音量増幅のためのコーン構造であることを考えると、ピックアップ構造を採用したテレキャスターがわざわざこのデザインを引き継ぐのはちょっと考えにくい。

生産コスト説

テレキャスターの作られた1950年頃、この種の金属プレートが安価に仕入れられ、かつ木材やプラスチックより強度が高いので、リアの取り付けにプレートを採用したという考えですが、一見するとイマイチな説です。
リアの金属プレートの端に壁があるので、ピックアップはどうしても斜めに取り付けざるを得ません。
その段階で製造上の手間がかなり増えている気がするので、コストは逆にアップしそうです。
また後発のストラトキャスターにようにピックアップを1列上にピックガードに吊り下げ式で搭載した方が製造ラインの都合も良さそうなので、コストカット説は無さそう…。

このストラトというのは明らかにテレキャス時代の反省点を踏まえて作られた感が強く、ご存じの通り金属プレートは見る影もありません。
「やっぱり、アレ、お金かかったんや…」という事で、これでもしギター界がストラトに代替わりしたのであれば一件落着だったのですが、今もなおテレは生き残っている。

生産コスト説②

歴史にはダイナミズムというのがあり、かつて完全な正解だったはずのものが、時を経て不正解になる事もあります。
テレキャスも1950年初頭では金属プレートマウント構造で安くたくさん作れたけれど、そのあとストラトの構造の方がさらなる安定生産に向いていると分かったから、新機種を開発。
しかしその段階で人気のあったテレを廃版にするのは惜しいから、しれっと継続販売し、フェンダーの2大巨頭に仕立てた。

怒られそうですが、ビジネスマインドを汲むと理解できるし、資本主義全盛期のアメリカっぽさにフィットする気がします。

いくら書いても良く分からないギターの歴史の一端。
こんな話をしながらビール片手にセッションする仲間が欲しいものです。


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