数多くの音楽家やレッスン生徒をみてきた当教室ですが、大きな課題が残っています。
それは、 良い音楽家に限ってセルフプロデュースに疎く、せっかくの能力をアピールすることが出来ていない。
言い替えれば、自分自身をアピールする方法をあわせて学べるレッスンがあれば、どれだけ彼らの力になれるのだろう…。
この悩みを解決する事は大きな目標の一つでもあり、同時に最大の壁でもあります。
音楽家がセルフプロデュース出来ない理由
音楽には、音感に根差した才能が不可欠です。
その才覚に目覚めた人の多くはある種の特殊な感性をもっていることが多く、特異な存在感を放っています。
一方で プロデュースとは、世間の最大公約数を知って、芸術を大衆性に落とし込むことです。
大衆を読むマーケティング分野の才覚は、音楽家の才能である特異性としばしば相反し、結果として音楽家は大衆性を読み切れずに世に出ていけないという構図が完成します。
では具体的に、音楽家はどうやって大衆性を読み解いていけば良いのでしょうか。
SEOの角度から活動する
SEOはインターネット用語ではありますが、今は音楽家にとっても必要不可欠な知識になってきています。
難しいことは置いといて、ここで必要な知識はひとつ「拡散したくなる心理作用」 の存在 です。
あなたがもしYouTubeなどで良質なコンテンツを見つけたら、インスタで可愛い写真を見つけたら、思わず友達にリンクを送ったり自分のSNSで紹介したくなりませんか?
多くの人は”自分の良いと思った物事を共有したい”という心理を持っています。
これは人間の歴史が始まり、言葉や文字を発展させていった経緯を考えるとうなずけます。
「この草は食べられる、この魚を採るにはこんな方法がある」人はいつも競うように、自分の見つけた価値ある情報を共有してきました。
今も同じです。
さて、拡散したくなるコンテンツかどうか、の線引きはあなたの音楽に価値があるかどうかで決まってきます。
コンテンツが商品になる原理
どうも芸術作品は神格化されがちですが、音楽も市場に出た瞬間に商品となります。
商品とは 価値があり、潜在顧客がいる という大原則をカバーしている必要があり、あまねくニーズを読み解かねばなりません。
価値とはザックリ定義すると 普遍的欲求を満たすこと です。
音楽を聴く人の普遍的欲求というのはたくさんありますが、「感動・癒し・驚き」など、人は幼少から培った感情のヒダを刺激されることを求め、音楽を視聴しているのです。
刺激するための方法もまたたくさんありますが、これは制作理論ですから割愛します。
まとめると、普遍的欲求にアプローチしている作品だけが良い商品になるという事です。
SNSで1本バズれば勝ち?
2000年代初頭までの業界では、ライブを行って集客し、プロダクションの目にとまることがプロへ続く唯一の道でした。
ワンマンライブで観客動員300名、CD手売り2000枚…非常にハードルの高い時代。
SNS全盛となった現在では、SNSに何気なく出したコンテンツが注目されるという事もよくあります。
これゆえに「誰もがスターになれる時代」「パッと出した動画がバズれば大金持ち」と勘違いしそうですが、実情はもっと厳しい。
SNS発展の効果によって埋もれていた人たちがどんどん前に出ることで、競争がかつてないほど激化し、コンテンツの賞味期限が非常に短くなりました。
賞味期限が短い商品だけを取り扱う市場では当然、商品の入れ替えを早急に行うようになり、新陳代謝が高くなります。
YouTuberさんたちが毎日のように動画を出すのは、この市場の流れにマッチするよう行動しているからですが、彼らの更新頻度の影響でさらに賞味期限は短くなっていきました。
でもやはり、自分の打順が早く回ってくる状況はチャンスと捉えるべきです。
それではどのようなコンテンツを作っていくべきなのでしょうか。
流行りのカバーは短期コンテンツ
流行っている曲を弾いてみた、歌ってみた、と配信する人は非常にたくさんいます。
時世に乗ってアクセスを稼げる一方でこれは短期的に価値が付与されたコンテンツ。
世の流行りを追いかけてばかりでは、流行の文字通りすぐに流さて行きます。
やはり音楽家である以上、オリジナリティある作品作りが必要となってきます。
オリジナル=既存の掛け算
と、いいつつ絶望的な解釈をしてしまいますが、完全なオリジナリティを創作することはほとんど無理で、市場の顧客もそれを望んでいません。
音楽は数百年の歴史がありメロディやリズムパターンは出し尽くされています。
この中からまだ見ぬパターンを創出しようとすると、まずは既存のパターンをしらみつぶしに検索する作業が必要ですが、検索は創造と真逆の行為です。
そうすると既存のエッセンスを掛け合わせて自分のものにする姿勢が必要なのですが、例えるならこれは、完成したいくつかの料理を掛け合わせて新しい一つの料理を考える事に似ています。
麻婆豆腐とハンバーガーを掛け合わせるのには相当な技術と工夫が必要ですが(まずそう)、カレー×うどん ならいける!そう考えていくとオリジナルに昇華されていくわけです。
繰り返しですが、制作論については割愛します…あしからず
いつもプロデューサーの気持ちで
プロデューサーという職業についてイメージがわきますでしょうか?
要するに「売り方」を構築する人です。
「良い音楽が出来たから、売れるに違いない」と考えるのはプロデューサー思考ではありません。
「音楽を作ろう、さてどんな売り方があるか」こう言う風に考える習慣をもつべきです。
ここまで述べて残念なのは、現時点でまだ当教室で専門的なSEO講座を開講できる人材に出会っていない事ですが、これからもっともっと音楽を志すひとの役に立てれば…と思いつつ筆を走らせました。
長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。